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木村研究室 学生君達の研究状況

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大学での研究は主として研究室単位で行います.機械工学科の学生諸君は3年次の卒業研究Iと創造実験、4年次の卒業研究IIで研究室に所属して研究を行う機会があります.

研究にたずさわることで、研究の内容を知るだけでなく社会に出てからも役にたつ訓練ができます.研究を行うためには、目標を決め、方法を計画し、実際に実行して結果を得、それを解析する手順が必要となります.ささやかなことであっても、これらを自ら行うことがとても大切なことであると考えています.

研究のやり方は様々です.研究室だけで行うものもあるし、外部の研究機関と共同して行う方法もあります.研究室での活動の様子を少し紹介しましょう.

1. 風を正しく測ろう

風を測ることは、通常の気象観測業務以外でも、列車や車の安全運航、飛行機の離着陸時の安全にとても大切なことです.観測は風向風速計によって行います.ところが、冬には風向風速計に対して雪や氷の影響が無視できなくなります.特に日本は殆どの地域で雪が降るため対策が必要となります.研究室では、夏でも雪の試験ができる防災科学技術研究所と共同で、雪の影響が現れないような風向風速計の開発を目指して研究を行っています.写真1は2015年の夏に行った試験の様子です.学生君達が厚着をして試験を行っていることが分かります.

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                        写真1.防災科学技術研究所での試験の様子

                            (手前には人工的に作った雪が見えます)

2. 雪や氷に強い航空機を開発しよう

飛行機は冬の着陸時にとても危険な状態を経験します.先進国の多くが高緯度地域にありますから、飛行機のかなりの割合がこの危険な状況と遭遇します.危険な状態というのは、飛行場の上空に雲があると、雲の中にある水滴が翼やエンジンで凍りつくことです.これを着氷と呼びます.着氷が発生すると場合によっては墜落の危険性すら生じます.この対策として、ジェットエンジン内の高温のガスの一部を翼やエンジンにまわして加熱し衝突する水滴を除去することが一般的でした.ところが、こうすると飛行性能が低下したり、燃料消費が増加したりするという問題が発生してしまいます.そこで、省エネで、かつ高機能の着氷防止対策の開発が求められるようになりました.本研究室は、ヨーロッパや日本の研究機関と共同でこの研究に着手しました.研究をより効率よく進めるためには、全員が集まって会議を開き、成果を共有し、今後の課題を話あうことが必要となります.写真2は昨年日本で開催された会議の参加メンバの記念写真です.写真3は本学で開催された会議の様子です.研究室の学生諸君も会議に参加し、研究方法を説明したり、討論したりしました.写真4は研究室が所有する風洞試験施設の見学の様子です.学生君達が苦労して作り上げた風洞を動かして、開発した装置がどのように機能するかを説明しています.

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写真2. 宇宙航空研究開発機構での会議(編集者追記:右から二人目が木村先生)

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        写真3. 本学での会議:学生君達も積極的に参加しました

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           写真4. 研究室の風洞の見学

3. DRONEを活用しよう

今や誰もが簡単にヘリコプタを操縦できるようになりました.DRONEと呼ばれる、複数のロータを持った簡易な装置がそれです.値段も安く、操縦も簡単であるため、あちこちでその利用が検討されています.研究室では産業技術総合研究所と共同でDRONEの活用の研究を行っています.DRONEは好きな場所(制限はありますが)で一定時間留まることが可能です.この特徴を活かし、風を観測する試みを行いました.写真5は開発した風観測装置の性能を風洞で調査しているところです.試験は学生一人で行いました.この装置を写真6のDRONEに搭載して実際に風を観測する計画です.

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写真5. 産業技術総合研究所の風洞での風観測用装置の試験

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          写真6. 風観測装置を搭載する予定のDRONE

. 成果を公表しよう

研究することで得られた結果は多くの人に公表することが必要となります.修士1年の学生が今年の6月にチェコ共和国の首都プラハで開催された国際会議に参加しました.発表の内容は、2.で説明したヨーロッパ・日本共同研究で得られた成果です.写真7は会場となったホテルの前で撮りました.発表とその後の質疑応答も全て英語でしなくてはなりません.十分に準備をしても、やはり緊張はとても高いものです.発表がうまく終了した後の安心した顔で写っているようすが写真7に伺えます.

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